等持院ってどんなところ?歴史・魅力・アクセス・拝観料について解説
足利将軍家の菩提寺として、570年以上の歴史を刻む等持院。
室町幕府初代将軍・足利尊氏が創建した寺院には、京都の歴史の表舞台と影の部分が色濃く残されています。
境内には、足利歴代将軍の木像が安置され、夢窓国師作と伝えられる庭園「芙蓉池」は、京都市の名勝に指定されています。
また、日本映画の父と呼ばれるマキノ省三の撮影所跡や墓所があり、歴史と文化が交差する静寂な空間が広る京都の観光名所です。
京都十刹の第一位に格付けされながら、観光客は少なく、穴場スポットとして知る人ぞ知る名刹について、この記事で深く探究していきましょう。
等持院ってどんなところ?
京都市北区に位置する等持院は、臨済宗天龍寺派の禅寺で、京都十刹の第一位に格付けされた名刹です。
境内には夢窓国師作と伝えられる二つの庭園があり、東庭には心字池、西庭には芙蓉池が配された池泉回遊式庭園となっています。
霊光殿には弘法大師作と伝わる利運地蔵尊を本尊として、足利歴代将軍の木像が安置されているのです。
また、方丈の襖絵は狩野興以の作で、荘厳な雰囲気を醸し出しています。
境内には樹齢400年以上の侘助椿をはじめ、馬酔木、皐月、梔子、芙蓉など、四季折々の花々が咲き誇り、静寂な空間の中で美しい自然を楽しむことができます。
等持院の歴史
等持院は室町幕府初代将軍・足利尊氏によって創建された寺院で、足利将軍家の菩提寺として重要な役割を果たしてきました。
京都十刹の第一位に位置づけられ、禅宗寺院としても高い格式を誇っています。
創建と等持寺の合併
暦応4年(1341年)、足利尊氏は天龍寺の夢窓国師を開山として、衣笠山の南麓に現在の等持院を創建しました。
当初は洛中にあった等持寺の別院として建てられ、「北等持寺」と呼ばれていました。
延文3年(1358年)に尊氏が亡くなると、その墓所となり、尊氏の戒名をとって「等持院」と改称。
その後、応仁の乱で本寺の等持寺が焼失したため、等持院が本寺となります。
夢窓国師の指導のもと、禅宗寺院として隆盛を極め、室町時代を通じて将軍家の重要な祈願所として機能しました。
戦乱と再興の歴史
応仁の乱などの戦乱により寺域は荒廃しましたが、豊臣秀吉が息子の秀頼に遺言して再興させるほど重要視されていました。
慶長11年(1606年)、豊臣秀頼により片桐且元を奉行として本格的な再興が行われ、江戸幕府からも寺領326石が安堵されました。
この時期に現在の霊光殿が建立され、足利歴代将軍の木像も安置されたのです。
しかし、文化5年(1808年)に再び火災で多くの建物を焼失。
文政年間(1818〜1831年)に現在の姿に復興されました。
特に方丈は、狩野興以による襖絵が描かれ、当時の芸術性の高さを今に伝えています。
近代以降の変遷
明治時代になると多くの塔頭が廃されましたが、足利将軍家の菩提寺としての重要性から、主要な建造物は保存されました。
1921年(大正10年)には、日本映画の父と呼ばれるマキノ省三が等持院塔頭跡地に映画撮影所を設け、1933年まで存続しました。
ここで多くの時代劇が撮影され、日本映画史に重要な足跡を残しています。
2017年以降は境内の改修・修復工事が順次行われ、2020年7月に完了しています。
霊光殿や方丈の屋根の葺き替え、庭園の整備など、大規模な修復により往時の姿を取り戻しました。
現在も足利将軍家の菩提寺として、15代230余年の歴史を物語る貴重な文化財が数多く保存されています。
特に夢窓国師作と伝えられる庭園や、足利将軍家の木像群は、室町時代の文化を今に伝える貴重な遺産となっています。
等持院の見どころ
京都十刹の第一位に格付けされた等持院には、室町時代から受け継がれてきた貴重な文化財や庭園が点在します。
静寂に包まれた境内では、足利将軍家の歴史と禅の世界に触れることができます。
特に以下の3つは、訪れた際に必ず見ておきたい見どころです。
- 霊光殿の足利将軍像
- 夢窓国師作の庭園
- 方丈と襖絵
①霊光殿の足利将軍像
弘法大師作と伝わる利運地蔵尊を本尊として、足利歴代将軍15代の木像が安置されています。
5代将軍の義量と14代将軍の義栄の像は欠けていますが、徳川家康の像も安置されており、室町時代の歴史を今に伝えています。
これらの木像群は、足利将軍家の菩提寺としての重要性を物語る貴重な文化財です。
2020年の修復工事で霊光殿は往時の姿を取り戻し、荘厳な雰囲気の中で将軍像を拝観することができます。
また、堂内には室町時代の肖像彫刻の特徴を示す貴重な作例として、美術史的にも高い評価を受けています。
②夢窓国師作の庭園
東西に分かれた池泉回遊式庭園は、夢窓国師の作庭と伝えられています。
東庭には心字池があり、草書体の「心」の字をかたどった静寂な空間が広がります。
西庭には芙蓉池と茶室「清漣亭」があり、四季折々の花々が彩りを添えています。
特に初夏の皐月、夏の梔子、初秋の芙蓉など、季節ごとに異なる表情を見せてくれるでしょう。
庭園は京都市の名勝に指定されており、2020年の修復工事で池の浚渫や石組みの補修が行われ、創建当時の姿に近い形で楽しむことができます。
また、樹齢400年以上の侘助椿は、春には可憐な花を咲かせ、庭園の風情を一層引き立てています。
③方丈と襖絵
元和2年(1616年)に福島正則が建立し、文化9年(1812年)に移築された方丈には、狩野興以による見事な襖絵が残されています。
南庭に面した広縁を歩くと、鶯張りの音が心地よく響き、静寂な雰囲気を醸し出しています。
これらの襖絵は一時期損傷を受けましたが、現在は修復され、年に一度の寺宝展で公開されているのです。
特に「竹林猛虎図」や「松鷹図」などは、狩野派の技法を今に伝える貴重な作品として評価されています。
また、方丈からは庭園の眺めも素晴らしく、四季折々の景色を楽しむことができます。
2020年の修復工事では、建物の傷みも補修され、より快適な拝観が可能になりました。
等持院のおすすめ観光シーズンは?
等持院は四季折々の美しさを楽しめる寺院です。
特に11月中旬から12月上旬は約50本のモミジが境内を彩り、心字池と芙蓉池に映る紅葉は幻想的な景色を作り出します。
また、初夏の見どころとして、6月上旬から7月上旬にかけては半夏生が見頃を迎え、葉が半分白くなる様子は独特の風情があります。
夏には梔子の花、初秋には芙蓉の花が咲き誇ります。
混雑を避けるなら早朝の参拝がおすすめです。
特に紅葉シーズンは人気スポットながら比較的空いており、静かな環境で庭園や建造物を楽しむことができます。
等持院のアクセス
等持院は京都市北区に位置し、複数の交通手段でアクセスできます。
観光客の多くは京都駅や金閣寺から訪れるため、それぞれの行き方を詳しく解説します。
京都駅からのアクセス
京都駅からは市バス26系統が最も便利な交通手段です。
バス停「等持院南町」で下車し、徒歩8分で到着します。
所要時間は約40分で、バス料金は230円です。
また、電車を利用する場合は、地下鉄烏丸線で今出川駅まで行き、市バス203系統に乗り換えます。
JRバスを利用する場合は、のりばJR3から約30分で「立命館大学前」に到着し、そこから徒歩10分です。
アクセス方法 | バス、電車 |
所要時間 | バス:40分 電車:30分 |
料金 | バス:230円 電車:490円 |
金閣寺からのアクセス
金閣寺から等持院へは、市バス59系統に乗車し「立命館大学前」で下車するのが便利です。
所要時間は約15分で、バス料金は230円です。
徒歩の場合は約20分で到着します。
金閣寺から等持院までの道のりには龍安寺など他の名所も点在しているため、散策しながら巡るのもおすすめです。
特に紅葉シーズンは、寺院を巡りながら京都の風情を楽しむことができます。
アクセス方法 | バス、徒歩 |
所要時間 | バス:15分 徒歩:20分 |
料金 | バス:230円 徒歩:0円 |
等持院の拝観料・参観時間
等持院の拝観料・参観時間を表にしてまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
参拝時間 | 9:00~16:30(受付終了16:00) 12月30日~1月3日:9:00~15:00(受付終了14:30) |
拝観料 | 大人:600円 小・中学生:300円 未就学児:無料 |
休日 | 年中無休 |
お茶席 | 抹茶:600円(等持院特製菓子付き) 番茶:400円(等持院特製菓子付き) |
御朱印 | 300円(書き置きのみ) |
駐車場 | 10台(無料) |
等持院のおすすめ周辺スポット
等持院の周辺には、歴史ある見どころが点在しています。
特に以下の3つのスポットがおすすめです。
龍安寺
世界遺産に登録された臨済宗妙心寺派の禅寺です。
1450年に室町幕府の有力者・細川勝元によって創建されました。
白砂と15個の石が織りなす石庭は、エリザベス女王も絶賛した世界的な名所です。
どの角度から見ても15個すべての石を同時に見ることができない特徴があり、禅の世界における「不完全」を表現しているといわれています。
境内南側には鏡容池があり、四季折々の花々や景色を楽しむことができます。
特に紅葉シーズンは美しく、石庭と紅葉のコントラストが見る者を魅了します。また、徳川光圀が寄進した「知足の蹲踞」には禅の教えが刻まれています。
金閣寺
室町時代に足利義満が造営した寺院で、正式名称は鹿苑寺です。
金箔で覆われた三層の楼閣が有名で、2020年に約20年ぶりとなる屋根の葺き替え工事が完了し、新たな輝きを放っています。
各層はそれぞれ異なる建築様式を採用しており、1層は寝殿造、2層は武家造、3層は禅宗仏殿形式となっています。
境内には樹齢約600年の「陸舟の松」があり、京都三大松の一つとして知られています。
鏡湖池には金閣と紅葉が水面に映り込む絶景スポットがあり、特に夕暮れ時の景色は圧巻です。
茶室「洗心亭」からの眺めも素晴らしく、四季折々の景色を楽しむことができます。
仁和寺
真言宗御室派の総本山で、世界遺産に登録された名刹です。
遅咲きの「御室桜」で有名で、約200本の桜が境内を彩ります。
背丈が約3メートルと低く、根元から枝が張って咲くという独特の特徴を持つ御室桜は、京都の桜の締めくくりとして親しまれています。
国宝の金堂は、慶長時代の御所紫宸殿を移築したもので、現存する最古の紫宸殿遺構として貴重な価値を持ちます。
重要文化財の五重塔や観音堂も見どころで、特に江戸時代に建てられた二王門は京都三大門の一つとして知られています。
霊明殿には11cmほどの薬師如来坐像が祀られており、毎月8日の縁日には限定御朱印を授与しています。
金閣寺周辺でのお食事は錦鶴へ
お食事処錦鶴は、京都金閣寺から徒歩3分のところにあり、四季折々の京野菜や湯葉、湯豆腐といった京都の特産品を使用した料理を提供しております。
特に、直径30cmの大きなお椀に盛り付けられた「金閣弁当」は当店の名物で、これまで多くの方に愛されてきました。
錦鶴は、修学旅行でご利用いただける弁当から、お祝いや法要などの特別な機会にも対応可能な豪華な御膳まで、幅広いメニューを取り揃えています。
京都の食文化を体験したい方、大切な人とのお食事の場として、また日常的な和食を楽しみたい方は、ぜひ錦鶴をご利用ください。
質の高い料理と心のこもったサービスで、お客様の食事時間と京都旅行の思い出を豊かにするお手伝いをさせていただ蹴ますと幸いです。
等持院についてよくある質問
等持院の庭園の特徴は何ですか?
東西に分かれた二つの庭園があり、どちらも夢窓国師の作庭と伝えられています。
東庭には「心」の字をかたどった心字池があり、西庭には芙蓉池と茶室「清漣亭」があります。
特に西庭は衣笠山を借景とした池泉回遊式庭園で、四季折々の花々が咲き誇ります。
霊光殿には何が安置されていますか?
弘法大師作と伝わる利運地蔵尊を本尊として、足利歴代将軍15代の木像が安置されています。
ただし、5代将軍の義量と14代将軍の義栄の像は欠けています。
また、徳川家康の像も安置されており、室町時代の歴史を今に伝えています。
等持院の紅葉はいつが見頃ですか?
11月中旬から12月上旬が見頃です。
約50本のモミジが境内を彩り、特に心字池と芙蓉池に映る紅葉は幻想的な景色を作り出します。
他の紅葉名所に比べて比較的空いており、静かな環境で紅葉狩りを楽しめます。
等持院はなぜ重要な寺院なのですか?
室町幕府初代将軍・足利尊氏によって1341年に創建され、足利将軍家の菩提寺として栄えました。
京都十刹の第一位に格付けされ、豊臣秀吉が息子の秀頼に再建を命じるほど重要視されていました。
現在も15代230余年の歴史を物語る貴重な文化財が数多く保存されています。
まとめ
京都市北区に位置する等持院は、臨済宗天龍寺派の禅寺で、室町幕府初代将軍・足利尊氏によって創建された足利将軍家の菩提寺です。
京都十刹の第一位に格付けされた由緒ある寺院です。
境内には国宝の霊光殿に足利歴代将軍の木像が安置され、夢窓国師作と伝えられる東西二つの庭園があります。
特に芙蓉池と心字池を中心とした庭園は、四季折々の花々や紅葉が美しく、静寂な空間の中で歴史と自然を感じることができます。
観光客が比較的少ない穴場スポットとして、ゆっくりと参拝を楽しむことができるでしょう。
ぜひ京都を訪れたい際は、足を運んでみてください。