銀閣寺ってどんなところ?歴史・見どころ・アクセスについて徹底解説
「金箔を貼らなかった銀閣には、むしろ日本美の神髄がある」
かつて岡本太郎はそう評した銀閣寺。
室町時代、第8代将軍・足利義政が「東山殿」として造営したこの山荘には、金閣寺とは異なる静寂な美しさが息づいています。
国宝の観音殿(銀閣)は、銀箔を貼る計画が戦乱により実現しなかったとされますが、その素木の風合いこそが日本建築の粋を表現。
白砂で作られた「銀沙灘」と「向月台」は、月光に照らされることを想定して造られた斬新なデザインで、600年の時を経た今もなお、私たちの感性を刺激し続けています。
「わび・さび」という言葉では表現しきれない、洗練された美意識と革新的なアートが共存する空間。
この記事では、そんな銀閣寺の歴史や見どころについて見ていきましょう。
銀閣寺ってどんなところ?
京都市左京区に位置する銀閣寺は、正式名称を慈照寺という臨済宗相国寺派の寺院です。
室町幕府8代将軍・足利義政が建てた山荘「東山殿」が起源となっています。
国宝の観音殿(銀閣)は木造2階建ての楼閣建築で、1階を「心空殿」、2階を「潮音閣」と呼びます。
金閣寺と異なり銀箔は貼られていませんが、その素木の風合いこそが日本建築の粋を表現しているのです。
境内には白砂で造られた「銀沙灘」や富士山型の「向月台」があり、特別名勝に指定された庭園が広がっています。
また、錦鏡池を中心とした池泉回遊式庭園では、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。
銀閣寺の歴史
銀閣寺は、室町時代を代表する寺院として、600年以上の歴史を刻んでいます。
特に「東山文化」の中心として、日本の文化芸術に大きな影響を与えました。
東山殿の造営
文明14年(1482年)、室町幕府8代将軍・足利義政は、祖父義満の北山殿(金閣寺)に倣い、応仁の乱で焼失した浄土寺跡地に山荘「東山殿」の造営を開始しました。
造営には多くの寺社から資材が集められ、約2000人もの人夫が動員されることになります。
観音殿(銀閣)は当初、金閣に対抗して銀箔を貼る計画でしたが、戦乱により実現しませんでした。
義政は隠居後、茶道や華道、書道などの芸術活動に没頭し、多くの文化人が東山殿に集まりましたが、観音殿の完成を見ることなく、延徳2年(1490年)に55歳で亡くなりました。
慈照寺としての発展
義政の遺命により、東山殿は寺として改められ、義政の戒名から「慈照院」と名付けられました。
延徳3年(1491年)には夢窓疎石を開山として招き、寺号を「慈照寺」に改めています。
この時期、東山殿は茶道や能、生け花など、様々な文化芸術の発信地となりました。
しかし、天文19年(1550年)には15代将軍義昭と三好長慶の争いにより、観音殿と東求堂以外の建物を失ってしまいました。
その後も戦国時代の混乱により、寺運は一時衰退を余儀なくされました。
銀閣寺としての確立
元和元年(1615年)と寛永16年(1639年)の改修を経て、現在の姿に近い形となりました。
この頃から金閣寺の「金閣」に対して観音殿が「銀閣」と呼ばれるようになり、後に寺自体が「銀閣寺」と通称されるようになりました。
明治33年には特別保護建造物に指定され、昭和26年(1951年)には東求堂とともに国宝に指定されています。
また、昭和28年(1953年)には庭園が特別名勝に指定され、平成6年(1994年)には古都京都の文化財として世界遺産に登録されました。
現在も多くの観光客が訪れ、日本を代表する文化遺産として大切に保存されています。
銀閣寺の見どころ
銀閣寺には、室町時代から受け継がれてきた貴重な文化財や庭園が点在しています。
特に以下の3つは、訪れた際に必ず見ておきたい見どころです。
- 国宝・観音殿(銀閣)
- 錦鏡池と石橋群
- 銀沙灘と向月台
①国宝・観音殿(銀閣)
正面四間、側面三間の二層楼閣で、1階は書院造の「心空殿」、2階は禅宗様式の「潮音閣」という異なる様式を持つ建築です。
西芳寺の瑠璃殿を模して造られ、杮葺屋根に白障子の花頭窓という優美な意匠が特徴です。
金箔を貼った金閣とは対照的に、素木の風合いが日本建築の粋を表現しています。
②錦鏡池と石橋群
池泉回遊式庭園の中心となる錦鏡池には、7つの石橋が架けられています。
特に「仙桂橋」は室町期に作られた唯一の石橋で、薄くて華奢な様子が特徴的です。
白鶴島や出島の護岸石組みなど、室町時代の美しさを今に伝える要素が随所に見られます。
③銀沙灘と向月台
本堂前に広がる白砂の「銀沙灘」と、高さ1.8メートルの「向月台」は、江戸時代初期につくられた独創的な庭園要素です。
特に向月台は月の光を反射して銀閣を照らす役割があったとされ4、その斬新なデザインは現代でも多くの人々を魅了しています。
銀閣寺のおすすめ観光シーズンは?
銀閣寺は四季折々の美しさを楽しめる寺院ですが、特に11月中旬から12月上旬が紅葉の見頃を迎え、最も人気の時期となります。
春と秋には通常非公開の東求堂や方丈、弄清亭が特別公開されます。
2024年春の特別拝観は3月20日から5月6日まで、1日6回のガイド付き拝観が実施されました。
また、展望台からは四季それぞれの景色を楽しむことができ、紅葉シーズンには周りの山々が色づき、冬には雪化粧した凛とした景色を楽しむことができます。
混雑を避けるなら、早朝の参拝がおすすめです。
特に紅葉シーズンは人気スポットのため、早めの時間帯の訪問がより快適に観光を楽しめます。
銀閣寺へのアクセス
銀閣寺は京都市左京区に位置し、複数の交通手段でアクセスできます。
観光客の多くは京都駅や金閣寺から訪れるため、それぞれの行き方を詳しく解説します。
京都駅からのアクセス
最も便利な方法は市バスの利用です。
京都駅烏丸口のA1乗り場から5系統(約40分)、A2乗り場から17系統(約35分)に乗車し、「銀閣寺道」で下車します。
料金は230円です。
また、地下鉄を利用する場合は、烏丸線で今出川駅まで行き、そこからバスに乗り換える方法もあります。
タクシーを利用する場合は、約25分で到着し、料金は2,600円程度です。
アクセス方法 | バス、地下鉄、タクシー |
所要時間 | バス:1時間15分 タクシー:25分 |
料金 | バス:230円 タクシー:約2,600円 |
金閣寺からのアクセス
金閣寺から銀閣寺へは、市バス204系統が最も便利です。
「金閣寺道」バス停から乗車し、「銀閣寺道」バス停で下車します。
所要時間は約50分、運賃は230円です。
自転車を利用する場合は約30〜40分で到着します。
タクシーを利用する場合は約20〜30分で、料金は2,000円から3,000円程度です。
徒歩の場合は約7.5キロメートルの距離があり、ゆっくり散策しながら京都の街並みを楽しむことができます。
アクセス方法 | バス、自転車、タクシー |
所要時間 | バス:50分 自転車:約30〜40分 タクシー:約20〜30分 |
料金 | バス:230円 タクシー:2,000〜3,000円程度 |
銀閣寺の拝観料・参観時間
銀閣寺の基本情報を以下の表にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
参拝時間 | 夏季(3月1日~11月30日):8:30~17:00 冬季(12月1日~2月末日):9:00~16:30 |
拝観料 | 大人(高校生以上):500円 小・中学生:300円 |
特別拝観料 | 2,000円(入山料別途)※特別御朱印付き |
休日 | 年中無休 |
所要時間 | 約30~40分 |
特記事項 | ・特別拝観は春季・秋季に実施 ・車椅子・ベビーカーは一部エリアで利用制限あり ・団体割引なし |
銀閣寺のおすすめ周辺スポット
銀閣寺の周辺には、歴史ある見どころが点在しています。
特に以下の3つのスポットがおすすめです。
哲学の道
銀閣寺から徒歩約13分の場所にある約2キロメートルの散策路です。
琵琶湖疏水分線に沿って続く小道で、桜や紅葉の名所として知られています。
かつて西田幾多郎をはじめとする哲学者たちが思索にふけりながら歩いたことから、この名がつきました。
四季折々の自然を楽しめる遊歩道で、特に春の桜と秋の紅葉の時期は多くの観光客で賑わいます。
法然院
銀閣寺から徒歩7分の場所にある浄土宗の寺院です4。静寂な雰囲気の中に、美しい庭園と歴史的な建造物が調和しています。
特に紅葉の季節は見事で、観光客が比較的少ないため、ゆっくりと秋の風情を楽しむことができます。
また、毎月第一土曜日の夜には「夜の法然院」として特別拝観も行われています。
永観堂(禅林寺)
銀閣寺から徒歩30分ほどの場所にある浄土宗西山禅林寺派の総本山です。
約3,000本ものもみじが植えられており、京都有数の紅葉の名所として知られています。
特に11月中旬から下旬にかけての紅葉は、「もみじの永観堂」として多くの観光客を魅了します。
金閣寺周辺でのお食事は錦鶴へ
お食事処錦鶴は、京都金閣寺から徒歩3分のところにあり、四季折々の京野菜や湯葉、湯豆腐といった京都の特産品を使用した料理を提供しております。
特に、直径30cmの大きなお椀に盛り付けられた「金閣弁当」は当店の名物で、これまで多くの方に愛されてきました。
錦鶴は、修学旅行でご利用いただける弁当から、お祝いや法要などの特別な機会にも対応可能な豪華な御膳まで、幅広いメニューを取り揃えています。
京都の食文化を体験したい方、大切な人とのお食事の場として、また日常的な和食を楽しみたい方は、ぜひ錦鶴をご利用ください。
質の高い料理と心のこもったサービスで、お客様の食事時間と京都旅行の思い出を豊かにするお手伝いをさせていただ蹴ますと幸いです。
銀閣寺についてよくある質問
銀閣寺の観音殿(銀閣)の内部は見学できますか?
通常は庭園の拝観のみで、観音殿の内部は非公開となっています。
観音殿は上層を潮音閣、下層を心空殿と呼び、上層には観世音菩薩木像、下層には千体地蔵像が安置されています。
金閣寺とは異なり銀箔は貼られていませんが、その素木の風合いこそが日本建築の粋を表現しています。
拝観時間と所要時間はどのくらいですか?
拝観時間は夏季(3月~11月)が8:30~17:00、冬季(12月~2月)が9:00~16:30です。
所要時間は通常の拝観で約30分程度です。
混雑を避けるなら早朝の参拝がおすすめです。
特別拝観では何が見られますか?
春と秋の特別拝観期間には、通常非公開の東求堂、方丈、弄清亭が公開されます。
特に方丈には与謝蕪村、池大雅による襖絵が所蔵されており、ガイド付きで拝観することができます。
駐車場はありますか?
寺院内には一般の方が利用できる駐車場・駐輪場はありません。
近隣の京都市銀閣寺観光駐車場(市営)やコインパーキングをご利用ください。
まとめ
銀閣寺は、室町時代、第8代将軍・足利義政が造営した山荘「東山殿」を起源とする臨済宗相国寺派の寺院です。
正式名称を慈照寺といい、東山文化を代表する建造物として世界遺産に登録されています。
春と秋には特別拝観が実施され、通常非公開の東求堂や方丈、弄清亭を見学することができます。
京都にお越しの際は、日本の伝統美と革新的なデザインが融合した、この歴史ある寺院に、ぜひ足を運んでみてください。